「ジャパニーズスタンダード」
今、ブラジルのリオで行われているオリンピックも終盤を迎えようとしています。
日本の獲得したメダルは史上最多となり、連日表彰台を日本人が賑やかしています。
又、4年後の東京オリンピックにもはずみがつくことでしょう。
金メダルを取れば、君が代が流れ、メダルを取れば日の丸が上る。日頃、君が代や日の丸に関心のない方でさえ、この時ばかりは、心躍り氣高まり日本人としての誇りをいやがおうでも掻き立てられるのではないでしょうか。
体力や体格では劣っている日本人が世界を相手にここまで健闘できるのはなぜでしょうか。私は大きく3点あると思います。
1つは練習量です。
メダルを取った選手が口々に厳しい練習について話をします。
一日12時間以上もプールにつかっているシンクロ選手。2人の同僚の選手を背負い腕力だけでロープ登りをするレスリング選手。萩野公介選手は1日1万6000m〜1万8000mを泳ぐと言います。
質量ともに他の国の選手を圧倒する練習量が身体能力の劣勢をカバーしているのでしょう。
2つ目は科学的なトレーニングです。
ただやみくもに練習するというのではなく、カメラによる画像分析や科学的データの集約分析、運動生理学を生かしたトレーニング、メンタルを重視したトレーニング。
医学的なサポート体制の確立等、日本人の非力さ、体格の小ささを逆に長所に変えていこうとするトレーニングの開発がさまざまな競技種目にあみ出されてきました。
そして、それをバックアップしているのが、2001年オープンした国立スポーツ科学センターです。トップアスリートたちが高度かつ科学的なトレーニングをする拠点となっています。
3つ目は、日本民族の精神性の高さ、歴史の深さではないでしょうか。
日本民族は文字もなかった1万年以上前から、寄り集まって生活してきました。皆で狩りをし、皆で耕作し、皆で分け合い、ひもじさも不作も豊作も共有してきました。助け合ってきました。
日本民族は助け合う民族「和の民族」です。「和」の真髄は「己を尊び人に及ぼす」ことです。自らの能力、技能を最大限に磨き、鍛え、高め、そしてそれを人の為に使い、人の役に立ち、人を喜ばせ、その喜びを我が喜びとしてきた民族です。
己を尊ぶことは己を大切にすることですが、最も己を大切にすることは自分の個性、能力を最大限に伸ばし世の為人の為に働かすことです。この精神性があるからこそ、日本のアスリートは地獄のような練習にも耐えられるのです。
そして、自分の為という小我からチームメイトの為、家族の為、国の為という大我のモチベーションがあるからこそ、ここぞという時、日頃鍛えた能力以上のものが個人個人発楊され、人の為という心がチームワークを倍化させ、1+1=3にも4にもならしめているのではないでしょうか。
事実、陸上男子400mリレーでは個人の持ちタイムを合計すれば7位なのに、ボルトも絶賛する練習量の多さと科学的バトンリレーと、「4人の和」でみごと銀メダルに輝いたのはいい例だと思います。
人間は自分の為よりも人の為にと思う時の方が能力が出、車を買ったとかマイホームを建てたとかいう私利私欲で感じる幸せより、人を喜ばせ人が喜んでいる姿を見る方がより幸せを感じることができるのです。
なぜなら人間は一人では生きていけないからです。仲間と共にあり、仲間と共に苦楽を経験するからです。
日本民族はその経験をすでに一万年以上前から、この日本列島で脈々と行って来たし、それを血肉にして来た民族なのです。
そんな誇りを胸に4年後の東京オリンピックを迎えたいと思います。
世界中が日本民族の精神性に驚嘆し、日本スタンダードが世界のスタンダードになるそんな大会になって欲しいと祈るばかりです。
代表社員 前原 幸夫