2018年12月06日

12月の言葉!「相続税あれこれ」

「相続税あれこれ」 

最近とみに相続税の申告が増えてきました。
 平成27年1月1日から改正された相続税の基礎控除が従前の60%に引き下げられたことが大きな原因です。
 以前であれば、奥さんがいなくても子供2人いれば7000万までは相続税の納税も申告も不要だったのが、今は4200万。少し財産がある方なら課税されます。
 なぜこんな相続税の増税を行なったのか。
それは、今の老人の方々の財産を経済の活性化に使ってもらい、残った分には課税するという思惑からだろうと思います。

 総務省の調査によれば60才以上の方が世帯主である世帯の貯蓄残額は、2014年9月の統計では、1654兆円、今後10年間に相続により財産が移転する金額はなんと500兆円と予想されています。
 法人税率は下げ、住宅資金や教育資金の贈与の特例で若い世代に預貯金を移転し、経済の活性化を図るとともに、使い切れず残して亡くなった場合には重い相続税を課税するぞと脅し?それなら生前に使って死ぬかということも狙っているのかと勘繰りたくもなります。

 相続税の課税についてはさまざまな論議があります。
 相続税は所得税を払った後の財産に対する二重課税だと廃止を主張する者から、財産は一代限りであり公平な社会を実現するために親の財産は100%国が没収してしまえという者まで、幅広い論議が行われています。
 そもそも相続税の課税の根拠は何でしょうか。
 相続税のない国もありますし、アメリカなどはブッシュ政権時、一時相続税の税率ゼロ%にしたこともあります。(今でも基礎控除は6億円です)
 なぜ親が死に、その親の残した財産に課税されるのか。しかも基礎控除下げて一部の資産家からというより大衆から。
 それは一言で言えば、相続財産の担税力にあります。
 親が残した財産を子は労せずして自分の財産にできます。そこに税金を負担する能力が発生するというものです。汗水垂らして稼いだものではなく親の財産が転がり込んだのだから、税金は払い易いだろうというものです。
 もう一つ、富の再配分機能を強化させようとする狙いです。富めるものはさらに富、貧しい者はますます貧しい。そんな社会を作らない為に格差社会を固定化させないために富める者が死んだ時、相続税を課し、国がその税という形で富の一部を没収しそれを貧しい人々へ社会保障という名で還元していこうとするものです。
ただここで問題があります。
親からもらった財産に本当に担税力、税金を負担する能力があるでしょうか。確かに現金とか預金、上場株式、投資信託、国債等、現金として使える物を相
続した場合には担税力が発生します。
 しかし、土地、建物、自社株式等は一切担税力が発生しません。
 しかも相続財産の多くはこの担税力のない財産で占められていることが多い
のです。
 親が持っていた自宅に息子が居住するのだから、息子は自宅を建てる必要がないから、担税力はあるだろうと言われるかもしれません。
 しかし、生前親の名義の住宅に息子が無償で住んでいたからと言って贈与税はかかりません。不動産、特に居住財産は〇〇家の財産として次代へ引き継いでいかれるべき財産だからです。
 又、貸家、貸駐車場などの土地、建物については、毎年不動産所得税を支払っているのであり、その名義が親から子に変わったとしても土地、建物の収益力は変わらず担税力は持てません。(担税力は売却した時発生します)
 相続により税金を負担できる担税力のある資産とそうでない資産に分けて、課税が行なわれるべきではないでしょうか。
 
 次は富の再分配が相続税によって機能しているかという点です。
 2017年決算額の内訳は国税収入約60兆円のうち、所得税約18兆円、法人税約12兆円、消費税約17兆円に対し、相続税は約2兆円です。この2兆円で富の再配分が可能でしょうか。
 貧困率というものがあります。その詳細は述べませんが、日本では16%6人に1人が相対的な貧困という調査から見ると約2000万人の貧困者が日本に居ることになります。
 2兆円を2000万人に分ければ、年に一人10万円です。これが富の再配分と言えるでしょうか。
 もっと言えば、税の仕組を使って富の再配分を行なうことに土台無理があります。相続税にますますこれから重税感が増して来ます。なぜなら一昔前のような金利水準なら相続税を負担しても残った財産が高金利でまた増えていきましたが、しこたま蓄えた親の財産に相続税が課税され、(しかも担税力のない土地・建物にまで)手許に残った財産で残された家族は老後を過ごしてゆかなければなりません。
 親の財産を当てにしない老後の収入計画を若い時からしっかり立てておく必要があります。

代表社員 前原 幸夫
posted by 前原幸夫 at 10:50| 今月の言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする